大学数学への道 受験だけの数学で終らせないために
¥2,200 (税込)
著者:米谷達也/斉藤浩
A5判/195頁
大学入試の数学は、その性質上、個々の問題が何らかの数学的テーマを示唆するというよりも、断片的なテクニックの寄せ集めという印象があります.一題の入試問題が一つの数学的テーマの本質を捉えているという例は希少であり、入試の数学(というジャンルがあるとすれば)は、実際には予め解けるように仕組まれた小作品とでもいうべき問題群からなっています.
筆者らは、大学受験指導の現場において、何らかのストーリーを組み立てた教材を用いて指導をしています.学生たちは、入試会場ではパン食い競争のように目の前の問題に喰いつかなければならないので、その問題の背後にある理論に思いを馳せるような余裕は当然ありません.しかし、試験の準備のために机上で学ぶ学生には、各論のアラカルトというよりも、少しでも意味の読み取れるストーリーを提供した方が、受験勉強が知的好奇心に彩られた豊かなものになるのではないかと考えています.全ての入試問題に対してこのような意味付けをすることはできませんが、問題によっては、その背後に出題者が念頭においている数学的テーマが見え隠れしています.
本書では、以上のような問題意識をもって、「大学で学ぶ数学」と「大学入試の数学」とを架橋することを試みてみたいと考えています.
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